前回のウェブ進化論の次作に位置づけられる作品で、ベストセラーになることが約束されているような作品だ。
著者が後書きで書いている様に、前回の進歩しているウェブの現在と未来をあつかったものから、その進化したウエブ環境を社会として、そして個人としていかに活用していくか。
ウエブと一緒にどう共存し、進化していくかを読者に問いている作品である。
読み始めてみて、あまりにウエブに同化している著者の姿勢に、少々、違和感を覚えたのも事実である。
私自身、もう少し、リアル世界に住んでいて、ウエブの世界とリアルの世界を等価に見据える著者の姿勢は次世代のものの様な気がした。
ただ、一方で個人的には情報処理の勉強をしたり、毎月、「日経ソフトウエア」の雑誌を購読したりして、この世界の(特にソフトウエア開発について)ついて行こうと思っている自分にとっては、方向性を示してくれているというよりも、現状の自分の位置づけを考える機会を与えてくれた本だと位置づけることが出来るだろう。
私自身は若い世代でもないし、ウエブの存在がどういったものになるのか想像出来ない部分もある。
ただ、10年後の定年を考えた時に、今でもそうだが、投資をメインにしてバーチャルな投資会社をウエブ上に構築することは考えているので、著者の提案するウエブ上のスモールビジネスを指向していることは言えると思っている。
また、ウエブ上に構築された情報のスーパーハイウエイについても、正直、そこまでの利用はしていないが、情報のきっかけを捉えてアマゾンなどから教科書を大量購入して、How to goの世界を辿りながら、勉強の指針を得ることはしているかもしれない。
私自身はウエブの力を利用して飯を食える様になることを指向しているとは言えない。
もう少し、リアル世界に両足を置いて(会社に勤めて、仕事をしながら、その仕事の背景の知識を拡張させながら、勉強を進めている)いるのが現状だ。
ただ、一方で投資活動も拡大させていって、例えば2000年当時、中国株を始めた頃には想像出来なかった様な高見に来れたのも、このウエブの力であることは間違いない。
著者はこの本の中でインテルの元社長のアンディ・グローブの言葉を引き合いに出して、会社組織で働く人間への注意事項について紹介しているので、ここに採録しておく。
1.「世の中と比べ、おそろしくゆったり時間が流れている」組織は要注意。そういった会社に長く勤めていると組織の外のスピード感に適応できなくなる。流れる時間がゆったりとしていると、組織に緊張感が欠如しがちだ。もしこの危険信号を察知したら、なぜ時間がゆったり流れているのかを考えてみるといい。権限が委譲されていれば一瞬で決められることが決められず誰かの指示を仰ぐのに時間がかかるとか、競争環境が緩慢で業界全体でそういう時間が流れているとか、いろいろな理由が明らかになってくるだろう。
2.「毎日同じ事の繰り返しで変化があまりない」仕事は要注意。そういう仕事を長くしていると変化の激しい世界に適応出来なくなる。
3.「新しいことを何もしない」ことが評価される社風は要注意。石橋を叩いて渡る堅実な経営自体が悪いというわけではない。業界によってはそういう経営故にサバイバルしてきた会社もある。しかしそういう会社のやり方が体にしみつくと外で使えない人になりやすい。
4.小さなことでも個に判断せず、判断の責任を集団に分散する傾向のある会社は要注意。どんなエクセレント・カンパニーでも、こういう会社に長く勤めると「何も自分で判断出来ない人」になりやすく、組織の外の常識と齟齬を来す。
5.幹部の顔ぶれを眺めた時、「その会社に関するプロ」(その会社の内部のことを知り尽くした人達)ばかりが重用されている会社は要注意。私が「大組織のプロ」というのは、仕事を通して組織を超えた普遍性を身につけた人のことで、だから外でも通用する訳だが、「その会社に関するプロ」であるだけでは、その会社の外ではまったく役に立たない。
この本の中で何度も強調されているのが、閉から開への方向転換だろうか。
実は私自身、ブログを利用しているのは日記を記録として残しておこうとか、せっかく読書をしているのだから、読書感想文をこうした形で残しておけば、記録となって、将来の自分への勉強ノートになるだろうといった動機から始めている。
著者の場合はもう少し積極的でネット空間の中で他者との関わりを重視している。
私自身はリンク機能を使い切れてはいないが、例えば、読書に関する情報を置き、相互にリンクを張ることで、新たな知の形成に一役かえるのかもしれない。
また、著者はネットの世界では組織よりも個に重点を置いて、個のエンパワーメントのツールとしてのウエブの重要性を強調している。
これも、可能性として私自身が期待していることでもある。
実は私自身、ここ数ヶ月の間に学習計画を立て、そんな中で目標というか、課題の消化と具体的な方向性について改めて反芻している最中である。
それに関連して以下のフレーズも有益だと思う。
「長期「なりたい自分」と短期「なれる自分」を意識して、現実的であることだ。「好きを貫く」ことは長期戦である。「なりたい自分」が仮にイメージできたとしても、すぐ明日にそれは実現しない。短期的には「なれる自分」を積み重ねながら「時間の使い方の優先順位」を常に意識し、ロールモデルの引き出しを増やしつつ、こつこつと長期にわたってしたたかに生きること。
「好きを貫く」ことと現実とのぶつかり合いの中で「好き」とは違う次元で就職などの判断を下すことはままある。そんな判断をしてもそれで終わりだと思わないこと。例えばオープンソース的に「志向性の共同体」に「気持ちだけ参加して」「好きを貫く」生き方もウエブ進化によって可能になる。そういう営むの中で自分の直感をみがき、あきらめずしつこく自分の志向性を問い続けること。
これは若い頃に読んだ、庄司薫の「若々しさのまっただ中のなかで犬死にしない為の方法序説」にもつながる人生の生き方というか知恵だと呼んでも良いかもしれない。
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